久しぶりのブログです。
なんと約5年ぶり!!
皆さん、日々ボイストレーニングに励んでますか?
練習を重ねることで徐々に歌えるようになる人もいれば、特に歌えるようになったという感じも無く悶々としている人など様々だと思います。
さて、皆さんが漠然と「歌が上手くなりたい!」と思うとき、それは何を指しているのでしょうか?
「テクニック」の側面から語るとすれば、 それは多分・・・
- 高音が出る
- ミックスボイスが歌えるようになる
- ベルティングボイスが歌えるようになる(表声傾向のミックスボイス)
という事ではないでしょうか?
繰り返しになりますが、あくまでも「テクニック的に」です。
テクニックなどを土返しした「人を感動させる歌の上手さ」という事ではなく。
そこで、今日は同じく久々にアップしたYUBA TVと同タイトル「ミックスボイスとは? そもそも「声区」なの?」という事で
「そんな事より、発声の仕方を教えてよ!」という声が聞こえそうです。
が!
「理屈を知る」というのはとても大事で、迷った時の助けになります。
「表声」「裏声」「ミックスボイス」を発声している時のメインの筋肉は?
ではまず「表声」「裏声」が発声されている時、喉の中はどうなっているのでしょうか?
様々な筋肉や関節、神経などの器官が発声している時に働いています。
当たり前ですね。 「この筋肉だけ」とか有り得ないのです。
その中で、特に大事になってくる筋肉が以下の筋肉、また筋肉群です。
- 「表声」を発声する時の主働筋(メインで働く筋肉):声帯筋(内甲状披裂筋)
- 「裏声」を発声する時の主働筋(メインで働く筋肉):輪状甲状筋
- 「声帯を閉鎖」する筋肉群:閉鎖筋群
上に示したように「表声」「裏声」それぞれを発声をしている時に「メイン」で働いているのが「声帯筋(内甲状披裂筋)」と「輪状甲状筋」です。
その「音質」の違いは聴けば誰でもわかりますよね?
このように「表声」「裏声」は、発声する時に「どの筋肉がメインで働いているか」を説明できます。
これは非常に大事なポイントです!
では、「ミックスボイスを発声する時の主働筋は?」
どうやら、この問いに答えられる方は学者を含め、まだ現れていないようです。
「声区」ってなんだ?
次に「声区」について考えてみたいと思います。
「声区」とはなんでしょうか?
これについてはマヌエル・ガルシア2世が19世紀に「定義」を唱えています。
彼は声楽家でもあり、優れた音楽教師だった人物で、今でいう「喉頭鏡」に繋がるものを工夫して作り自分の喉の中を観察した最初の人です。
彼は「声区」というのは。。。
「同一のメカニズム」が作りだす「同種・同質」の「音のシリーズ」
と定義しています。
そして、これらの音と「違う音」というのは「別のメカニズム」が作りだす、また別の「同種・同質」の「音のシリーズ」と説明ができます。
この「同種・同質」の、というのは「表声という同種・同質の音」「裏声という同種・同質の音」ということです。
そして、「音のシリーズ」というのは「表声」なら「表声」で「音階」が歌えるという事です。
また、「定義」の中で「同一のメカニズム」というのがありますが、これは例えば「表声」では「声帯筋」の事、「裏声」では「輪状甲状筋」という事になります。
このように「表声」「裏声」についてはメカニズム的にも、そして実は神経系等的にも説明がつきます。
もちろん「閉鎖筋群」も関係ありますが、これは声帯を閉じる筋肉群のため、声になっている以上、「表声」でも「裏声」でも働いており、それぞれ特有の声を出すための「主働筋」ではありません。
あくまでもそれぞれの音質の声を発声する時に「どの筋肉がメインか?」です。
因みに、細かいことを言えば「表声」を発声している時も、「輪状甲状筋」が働いていないとは言い切れませんし、「裏声」を発声している時も「声帯筋」が同じく全く働いていないとは言えません。
むしろそれぞれ働いているでしょう。
また、それぞれの筋肉が「どれくらい働いているか」は「声のボリューム」「ピッチ」「音質」によって変わります。
さて「声区がいくつあるか?」についてですが、「表声」「裏声」という「2声区」については文句無く誰でもカウントできると思います。
「2声区は間違いなくあるな」と。
では「ミックスボイスは声区か?」
問題はここです。
YUBAメソッドではミックスボイスは声区ではない
最初に結論を。
YUBAメソッドでは「ミックスボイス」は「声区」とは考えていない
理由はマヌエル・ガルシア2世が定義している「声区」の考え方でいくと「ミックスボイス」を発声している時の「メインメカニズム」である「主働筋は何になるのか?」と言う事が示されなければ「声区」として成り立たないからです。
YUBAメソッドでは、「ミックスボイス」と言うのは結局のところ、喉頭の中で「表声の主働筋である声帯筋」と「裏声の主働筋である輪状甲状筋」が拮抗する中で、微妙なバランスを保って発せられる「派生物」と考えています。
私が「YUBAメソッド認定Voiceインストラクター」だから、と言う事ではなく個人的にもこの理屈は納得のいくものでした。
そして、この事は「声帯の振動振動」の違いで、その1つ1つに名前をつけて「声区」とするのは違うのでは? と言う事に通じます。
「声帯の振動状態」が違えば当然、発せされる「音質」は違ってきます。
でも、どんなに様々な音質の声が発せられても、その「声帯の振動状態」を作っている大元は「筋肉」です。
そこに着目すると、やはり「その発せられた声の主働筋肉はなんだ?」になります。
コーネリウス・L・リード氏が書いた「ベル・カント唱法」と言う本があります。
この本の中ではそれぞれの主働筋についての言及は無いのですが「声区」を2つ以上に細分することは真の発声の進歩が起これば必ず明白になる問題を、ただ混乱へと導くだけと当時の外科医の言葉を紹介しています。
私はYUBAメソッド開発者の弓場徹先生から習う前にこの本を読み、納得しました。
細分化された音質の名前を言われても混乱してましたから。
発声した声に「〜ボイス」といっぱい言われて。。。「え?そうかな〜。さっきの声と何が違うんだろう?」と混乱してました。
ですから、YUBAメソッドでは「表声」「裏声」の2声区と考えており、発せられた音質の違いに名前はつけず、単に「ちょっと表声が強いかな」「裏声が強いかな」とアドバイスするに留めてます。
今のところ、先にも述べたように学者様も「ミックスボイスの主働筋は?」と言う弓場先生の問いに答えられた方はいらっしゃらなかったようで、どこまで行ってもミックスボイスは「声帯筋」「輪状甲状筋」の働きによるものには変わりが無いと思うのです。
それを便宜上
ミックスボイスは「表声」と「裏声」を融合したもの(混ぜたもの)と表現しているに過ぎません。
結局は、ボイストレーニング方法が大事!
今までも、これからもこの発声に関する研究は続くでしょう。
海外でも「2声区説」「3声区説」と様々あるようです。
でも、どんなデータが出ても「で? 効果のあるボイストレーニング方法は?」に尽きるのではないでしょうか?
この「声区」の考え方は様々ですし、筋肉の名前、神経の名前など喉頭の仕組みなどは専門書を読めば「暗記」できます。
ですから大事なのは「ボイストレーニング方法」と、何よりもインストラクターが、目の前にいる生徒さんの声を「どう聴き分けるか?」だと思います。
「ボイストレーニング方法」がわかっても、「聴き分け」が間違っていたら意味が無いです。そしてその「聴き分け」の結果、どのようにトレーニングを進めるのか?
今は様々な情報があり混乱します。
私が半ば歌に関してはノイローゼ気味になっていた時期にはこんなに情報はありませんでした。
「換声点」の質問をしても誰も答えてくれませんでした。
だから、今は非常に「便利」ですが、とにかく「本質」です。
ミックスボイスは「安定的に歌える」には時間がかかります。
そこをどれだけ本気になってじっくり取り組むか?です。
私も自分が歌いたい歌声にはまだまだです。
一緒に頑張りましょう!
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