最近アップしたYUBA TVでも話してますが、「ミックスボイスを安定的に歌えるようになる」にはやはり時間がかかります。
「ミックスボイスで歌えるようになった!!」と思ったのもつか沼、「あれ?この曲だと歌えない」「あれ?今日は歌えない」
と安定しない事が多々あります。
本当に嫌になっちゃいますよね。。。
発声練習は良いのに、曲になると歌えない──“惑う糸”への1年間の道のり
ボイストレーナーとして長年やってきて、何よりも嬉しい瞬間があります。
それは、生徒さんが「発声練習だけ」のステージを超えて、ついに本当の意味で「曲を歌う」ステージに入れた時。
今、ある生徒さんが取り組んでいるのは菅田将暉さんの「惑う糸」。
実はこの曲、約1年前に課題として渡したものでした。
でも当時は、発声練習では高音のF(high Cの上のF)が出るのに、いざ曲になると「highC」も苦しそうで、声が不安定になる。
「なぜ発声練習では出るのに、曲になると出ないのか?」
これはよくある事です。
私たちはこの問題にじっくりと向き合ってきました。
一度、曲を離れ、発声練習に立ち返る。
そして再び曲に戻っては問題を細分化して発声練習の成果をどのようにして「曲」に活かすのかを徹底的にやりました。
そう、「曲と発声の橋渡し」をしていったのです。
こんな地味で根気のいる繰り返しを、この生徒さんは諦めずに積み重ねてきました。
その結果、今では本人が驚くほどhigh Cの部分が「楽に歌える」ようになってきました。
もちろん、まだ完成ではない。
でも、以前のような「箸にも棒にもかからない」状態ではなく、確かな手応えと成長の実感がある。
「声」が身体に馴染んできた。。。
プロ志望ではなくても、ここまで来た──“続ける力”が声を変える
彼はプロ志望でもなく、忙しい会社員。
それでも、月1回のレッスンに10年近く通い、コツコツ声に向き合ってきた。
途中、何度かONE OK ROCKの曲やKing Gnuの「白日」など、挑戦してはまだ難しさを痛感し、また「発声練習」に戻る。
彼も「まだ曲を歌う時期では無い、しっかり発声練習をしよう」としっかりと現実に向き合いました。
当然ですが、私はYUBAメソッド認定Voiceインストラクターとして細かくアドバイスします。
しかし、彼自身「どうやったら歌えるようになるか」を自分の頭で考え、練習に向き合って来てました。
彼は体力をつけるためにトレーニングも頑張ってます。
本当に愚直にやるんですよ。
「好きな曲」「歌いたい曲」に挑戦することも大切。
モチベーションアップにもなります。
けれど、発声練習を真面目にやってきた分、この「好きな曲」「歌いたい曲」で上手く歌えないとショックも大きい。
そんな時こそ、現実を受け止めて、基本に立ち返る。
この「現実を見ながらも、諦めない姿勢」こそ、成長を支える柱だったと思います。
そして今、長い間、基礎にしっかり向き合ってきたからこそ歌にもっとフォーカスできるようになりました。
彼は、またKing Gnuの「白日」に再トライします。
焦らなくていい。諦めないで。“歌える声”を育てよう。
結果を急ぐ気持ちは、痛いほど分かります。
特に、プロを目指している人。バンドで歌いたい人。バンドで歌っている人。
「今、歌いたい」「この曲が歌えたらカッコいい」
もちろん、その気持ちは大切。でも――
基礎を飛ばして歌だけ追えば、必ずどこかで限界がくる。
それどころか、喉を壊してしまう人だって実際にいます。
安定したミックスボイス、高音、低音があってこそ、歌は自由になる。
その基盤が整っていない状態で曲ばかりを追っても、歌えたり、歌えなかったり、不安定な状態が続くだけ。
だから私は、声を育てるプロセスそのものを、もっと大切にしてほしいと思っています。
そう、「声を育てる価値」を知って欲しいと思います。
彼のように「楽しさ」と「本質的な練習」のバランスをとりながら時間をかけて声と向き合うこと。
それこそが、安定したミックスボイス、高音、低音、そして本当に「歌う」ということにたどり着く、唯一の道なのだと。
今、うまくいかなくてもいい。時間がかかってもいい。
諦めなければ、必ず「音楽になる声」は手に入る。
一緒に、そこまでたどり着きましょう!
